オルカンとS&P500、どっちがいい? 実は「6割は同じ」という話
NISAで投資信託を選ぼうとすると、ほぼ必ずぶつかるのが「オルカンとS&P500、どっちがいいの?」という問いですよね。ネットでも定番の論争で、私もよく聞かれます。自分が始めたときも、ここでしばらく立ち止まりました。
ただ、いろいろ調べていくと、この2つは多くの人が思っているより“似ている”んです。今回は、オルカンとS&P500の違いと選び方を、できるだけ中立に整理してみます。先に言っておくと、どちらが正解、という話ではありません。
まず結論。「分散か集中か」の違い、でも実はかなり似ている
ざっくりした結論からお伝えします。
オルカンとS&P500の違いは、一言でいえば「全世界に分散するか、米国に集中するか」という方針の違いです。分散を重視するならオルカン、米国の成長に賭けたいならS&P500、というのが大まかな整理ですね。
ただ、ここで知っておきたい大事な事実があります。オルカンも、実は約6割が米国株なんです。だから2つの値動きはかなり似ていて、「分散のために両方持つ」というのは、実はあまり意味がなかったりします。この点を押さえておくと、選び方がぐっとクリアになります。順番に見ていきましょう。
そもそも、何が違うの?
まず、それぞれが何なのかを確認します。
オルカン(オール・カントリー、全世界株式)は、世界中の株式に幅広く投資する指数(MSCI ACWIなど)に連動します。先進国だけでなく新興国も含めて数十か国、何千もの銘柄が対象で、世界の株式市場の時価総額のおよそ85%をカバーしています。「世界経済まるごとに、低コストで分散投資する」イメージですね。
S&P500は、米国を代表する約500社で構成される指数です。アップルやマイクロソフトといった、世界的なグローバル企業がずらりと並びます。米国経済の動向を映す指標としてニュースでもよく登場するので、値動きをイメージしやすいのも特徴です。
ぱっと見では「全世界 vs 米国一国」で、ずいぶん性格が違うように見えますよね。ところが……。
いちばん大事なポイント。オルカンも「6割は米国」
ここがこの記事のキモです。
オルカンは「全世界」と名乗っていますが、その約6割(最近では65%ほど)を米国株が占めています。なぜかというと、オルカンは時価総額(企業の規模)が大きい銘柄ほど比率が大きくなる仕組みだから。いま世界でいちばん時価総額が大きいのは米国企業なので、結果的に米国の比率が高くなるんですね。
面白いのは、この比率が時代とともに変わってきたこと。35年ほど前は、全世界に占める米国株の割合は25%程度だったそうです。それがこの10年あまりの「米国一強」で、6割超にまで膨らんだ。つまりオルカンは、米国が強くなれば自動的に米国比率を上げ、米国が弱くなれば自動的に下げてくれる、という性質を持っているわけです。
そして、ここから大事な結論が出てきます。オルカンの6割が米国株ということは、オルカンとS&P500の値動きは、かなり似るということ。実際、プロからも「両方を持っても資産分散としてはほぼ意味がない」という指摘があります。「分散のつもりで両方買ったけど、中身はけっこうダブっていた」というのは、よくある話なんですね。だから基本的には、どちらか一本でいい、と考えてよさそうです。
過去の成績と、その読み方
「で、どっちのほうが儲かってきたの?」という話ですよね。ここは慎重に扱いたいところです。
過去10年といった長めのスパンで見ると、S&P500のほうがオルカンを上回ってきた傾向があります。米国のIT・ハイテク企業が突出して伸びた時期だったからですね。一方で、世界的に株が下がった局面や、直近の一部の期間では、オルカンがS&P500を上回ったこともあります。
ここで強調したいのは、「米国一強」はあくまでこの10年あまりの話だということです。もっと長い目で、1970年代以降を年代ごとに振り返ると、日本株が主役だった時代や、新興国株が主役だった時代もありました。米国がずっと一番だったわけではないんですね。だから「過去がこうだったから、これからも米国が一番」とは限らない。過去の成績は、将来を保証するものではない……。これは、どんなときも忘れずにいたい大前提です。
選ぶときの軸。どちらに納得できるか
では、どう選べばいいか。考え方の軸を整理します。
「これからも米国が世界経済の中心であり続ける」と考えるなら、S&P500(あるいはオルカンでも、中身の6割は米国なので大きくは変わりません)。一方、「いつか主役が変わるかもしれない/先のことは読めない」と考えるなら、オルカンのほうが、その変化に自動で対応してくれるぶん気が楽かもしれません。どちらの見方が自分にしっくりくるか、ですね。
それと、両方に共通する注意点として為替リスクがあります。どちらも中身は海外資産が中心なので、円高に振れると、円で見たときのリターンは目減りします。長く円安が続いてきたので意識しにくかったかもしれませんが、頭の片隅に置いておきたいところです。
もし「もっとしっかり分散したい」のであれば、オルカンとS&P500を組み合わせるのではなく、株式とは値動きの異なる資産(債券や金など)や、米国以外の国の比率を高める商品を足す、という方向のほうが理にかなっています。似たもの同士を2つ持つより、性質の違うものを組み合わせる!これが分散の基本ですね。つみたて投資枠と成長投資枠の使い分けの記事も、あわせて参考にしてみてください。
結局、いちばん大事なのは
ここまで整理しておいてなんですが、私が思うに、オルカンかS&P500かという選択そのものより、選んだものを長くコツコツ続けられるかどうかのほうが、結果に効いてくる場面が多い気がします。どちらも低コストで世界の成長を取りに行ける、優れた選択肢であることに変わりはありません。
いちばん避けたいのは、「最近はこっちが調子いいから」とコロコロ乗り換えて、結局どっちも中途半端になること。相場が下がった局面で慌てて売ったり乗り換えたりしない、という点では、暴落との付き合い方の記事ともつながります。自分が納得できるほうを選んで、あとは淡々と——というのが、遠回りなようでいちばんの近道なのかなと思います。
自分の場合、どのくらいになりそう?
オルカンでもS&P500でも、結局のところ「毎月いくら、何年積み立てるか」で将来像は大きく変わります。これは数字で見たほうがイメージしやすいんですよね。
シミュレーターで、毎月の積立額や利回りを入れて、長期で続けたらどうなりそうかを試してみてください。NISA・iDeCo・企業型DCを並べて見られるので、制度全体の中での位置づけも考えやすくなります。どちらの指数を選ぶにせよ、まずは「続けたらどうなるか」を眺めるところから始めてみてください。
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※この記事は2026年6月時点の情報をもとにした一般的な解説で、個別の投資の助言や特定の商品・指数の推奨ではありません。過去の運用成績は将来の成果を保証するものではなく、投資には価格変動や為替変動などのリスクがあります。実際の投資判断は、ご自身の責任で、必要に応じて金融機関や専門家にご相談のうえ行ってください。

