ドル円162円、39年ぶり円安。オルカンを積み立てる人に、円安・円高はどう効く?
「1ドル162円」というニュースを見て、オルカンを積み立てている方は、少し落ち着かない気持ちになっていませんか。私もそうでした。「こんな円安のときに買い続けて大丈夫かな」「もし円高に振れたら、一気に含み益が消えてしまうのでは」と、為替のニュースが出るたびにソワソワしていた時期があります。
今日は、この為替とオルカンの関係を、順を追って整理してみます。仕組みが分かると、ニュースへの向き合い方もだいぶ変わると思うんです。
先に結論をお伝えします
ポイントを先にまとめますね。オルカンは、名前こそ「全世界株式」ですが、中身の9割以上は外貨建ての資産で、為替の影響をそのまま受ける設計になっています。ですから、円安は基準価額を押し上げる方向に、円高は押し下げる方向に働きます。今のような円安局面では、評価額が為替に支えられている面がある、ということです。
その上でお伝えしたいのは、為替は誰にも予測できない、ということ。「円高になったら困るから」と積立を止めてしまうのが、長い目で見るといちばんもったいない選択になりがちです。そしてもうひとつ、意外な落とし穴があります。「円安が怖いからオルカンを増やす」という行動が、実は円安対策どころか、為替リスクの積み増しになってしまうことがあるんです。ここは後半でくわしくお話しします。
オルカンは、なぜ為替の影響を受けるのか
まず仕組みから。オルカン(正式にはeMAXIS Slim 全世界株式)は、日本を含む世界中の株式に投資していますが、その95%以上は海外の株式です。国別では米国が約6割を占めています。しかも、為替の変動を打ち消す「為替ヘッジ」という仕組みを使っていません。
そのため、海外の株価そのものの動きに加えて、円高・円安の動きも基準価額に反映されます。これは運用会社である三菱UFJアセットマネジメント自身も、「円高は基準価額の下落要因、円安は上昇要因」とはっきり説明しています。おもしろいのは、たとえ海外で株価が上がっていても、それ以上に円高が進めば、基準価額が下がることがある、という点です。逆に、株価が下がっていても円安が進めば、基準価額が上がることもあります。ドル円の動きが、影響のおよそ9割を占めるとも言われています。
今は「為替に支えられている」局面かもしれません
いまドル円は162円近辺で、39年半ぶりの円安水準が視野に入っています。ということは、今のオルカンの評価額は、株価の上昇だけでなく、この歴史的な円安にもかなり支えられている、と考えられます。
これは裏を返すと、円高に振れたときには評価額が下がりやすい、ということでもあります。だからこそ、「今の含み益は、為替の追い風も含んだものかもしれない」と、少し冷静に眺めておくといいと思います。
過去には、こんな下げもありました
為替と株が同時に逆風になると、どれくらい下がるのか。過去の例を見ておきましょう。
2024年7月には、1ドル160円台から150円台への円高が進み、さらに米国の経済指標の悪化も重なりました。このとき、オルカンの基準価額はおよそ17%下落しています。為替と株価の両方が下向きになると、下げが大きくなるんですね。仮に160円から130円まで円高が進んだ場合、株価が変わらなくても為替の影響だけで約19%押し下げられる計算になります。この「為替でこれだけ動く」という感覚は、持っておいて損はないと思います。
ただ、悲観だけで終わらせたくないので、長い目の話も。ある分析では、オルカンの対象指数は、過去の円高の時期を含めて見ても、長期では平均して年5%程度上昇してきたとされています。これは過去の実績であって将来を保証するものではありませんが、株価の成長が、為替の上下をならしてきた面がある、ということです。
見落としやすい点
ここからは、他ではあまり語られない部分を書いておきます。今日いちばんお伝えしたいところです。
まず、「円安対策としてオルカンを増やす」ことの落とし穴です。円安への備えとして外貨建て資産を持つ発想自体は、間違いではありません。ただ、すでにオルカンやS&P500型の投信をたくさん持っている人が、円安不安だけを理由に買い増すと、円安対策のつもりで、外貨の影響を受ける資産に集中してしまうことになります。円安対策になるかどうかは、オルカンをいくら持っているかではなく、自分の資産全体のうち円建て資産と外貨の影響を受ける資産がどんな割合か、で決まります。預金が大半の人が一部を回すのは合理的ですが、すでに資産の半分以上が外貨の影響を受けている人は、いちど立ち止まってみてください。
次に、オルカンは「為替商品」ではなく、あくまで株式投資だということ。円安に備えるつもりで買っても、世界的な株安が来れば、円換算でも大きく下がる可能性があります。オルカンを持つことは、為替リスクと株価リスクの両方を引き受けること。この点は忘れずにいたいところです。
「じゃあ為替ヘッジありを選べばいいのでは」と思うかもしれません。ただ、これも万能ではないんです。為替ヘッジにはコストがかかり、そのコストは主に日米の金利差で決まります。2024年には、そのコストが年率5%を超えた時期もありました。長期でコツコツ持ち続けるインデックス投資では、このコストがリターンをじわじわ押し下げる要因になりますし、円安になったときの上昇メリットも受けられなくなります。だから長期のインデックス投資では、ヘッジなしが一般的なんですね。数か月から1年以内に使う予定のお金なら、話は別ですが。
そして、いちばん大事なこと。為替は、株価以上に予測が難しいものです。「円高になってから買おう」と待っているうちに、さらに円安が進んでしまったり、株価だけ先に上がって後悔したり、ということが起こりがちです。毎月一定額を積み立てていれば、円安のときは少なく、円高のときは多く買えて、通貨の面でも時間の面でも自然に分散されます。為替に一喜一憂せず、淡々と続けることが、結局はいちばん効くのだと思います。
最後にひとつ。近いうちに使う予定のあるお金は、外貨の影響を受ける資産に入れないほうが安心です。使うタイミングでたまたま円高だと、目減りしてしまうからです。使う時期の近いお金と、当分使わないお金は、分けて考えてみてください。
自分の場合、どうなるか試してみてください
為替そのものは予測できませんが、「強気の想定」と「控えめの想定」の両方で、積立を続けたらどんな姿になるのかを眺めておくことはできます。振れ幅を先に知っておくと、円安・円高のニュースが出ても、落ち着いていられます。
当サイトのシミュレーターは、NISA・iDeCo・企業型DCの3つの制度をまとめて試せます。毎月の積立額や期間、想定利回りを動かして、良かった場合と厳しかった場合の両方を見てみてください。為替に振り回されずに続けるための、心の支えになると思います。
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※この記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な解説で、個別の投資の助言や特定商品の推奨ではありません。為替や基準価額は日々変動し、制度も法改正などで変わることがあります。実際の商品内容や取り扱いは、各運用会社の目論見書や金融機関、専門家にご確認ください。

