NISAで日本国債が買えるようになるって本当?
「NISAで日本国債も買えるようになる」というニュースを見て、少し意外に感じた方もいるのではないでしょうか。NISAといえば、オルカンやS&P500などの投資信託を積み立てる制度というイメージが強いですよね。
結論からお伝えすると、2026年7月15日時点では、NISA口座で日本国債そのものを買うことはできません。NISAの対象に国債を加える案は浮上していますが、まだ制度として決まったわけではなく、開始時期や対象となる国債、投資上限なども未定です。
ただし、単なる思いつきという段階でもありません。国民民主党が「国債NISA法案」を国会へ提出し、片山さつき財務相も早期に検討を具体化したいという考えを示しています。今後の税制改正で、本格的な議論へ進む可能性が出てきました。
何がきっかけで「国債NISA」が出てきた?
2026年7月10日、国民民主党は、NISAの非課税対象に日本国債を加えるための議員立法を参議院へ提出しました。法案では、国債から受け取る利子だけでなく、売却によって生じる譲渡所得なども非課税対象に加えるよう、政府に必要な措置を求めています。
さらに7月14日には、政府・与党が次年度の税制改正に向けて、NISAへ国債を加える方向で検討に入ったと報じられました。同日、片山財務相は記者会見で、NISAへの国債追加も検討対象に含まれるとしたうえで、党の税制調査会などと整理する必要があると説明しています。
つまり、今の段階は次のように整理できます。
| 項目 | 2026年7月15日時点 |
|---|---|
| NISAで日本国債を直接購入 | できない |
| 国債NISA法案 | 国民民主党が提出 |
| 政府の方針 | 検討を進める段階 |
| 制度開始時期 | 未定 |
| 投資上限や対象国債 | 未定 |
ニュースの見出しだけを見ると、近いうちに確実に買えるような印象を受けます。しかし、現時点では法案が成立したわけでも、税制改正の内容が決定したわけでもありません。「国債NISAが始まる」と言い切るのは、まだ早いと思います。
今のNISAでは国債を買えないの?
現在のNISAでは、成長投資枠を使って上場株式や一定の投資信託、ETFなどを購入できます。つみたて投資枠では、長期の積立・分散投資に適しているとして金融庁の基準を満たした投資信託が対象です。
一方、個人向け国債や通常の利付国債といった、日本国債そのものをNISA口座へ直接入れることはできません。個人向け国債を買う場合は、金融機関の通常口座や特定口座とは別に管理され、受け取った利子には原則として20.315%の税金がかかります。
ただし、国債を組み入れて運用する投資信託やETFのうち、NISAの対象条件を満たしている商品は購入できます。「国債へ投資する商品」と「国債そのもの」は、同じように見えて仕組みが違うんですね。
2027年の「債券ファンド拡充」とは別の話
ここで混同しやすいのが、2027年から予定されているNISA対象商品の拡充です。2026年度の税制改正では、つみたて投資枠で購入できる投資信託の条件を広げ、債券中心の投資信託や、株式と債券を組み合わせたバランス型投資信託を増やす方針が示されています。
これまで、指定された株価指数に連動しない投資信託については、主に株式へ投資することが条件でした。改正後は「主に株式または公社債へ投資するもの」に変わるため、株式の値動きが不安な方や、資産を取り崩す時期が近い方にも選択肢が広がります。
ただし、これはあくまで債券へ投資する投資信託の話です。今回浮上した国債NISAは、日本国債をNISA口座で直接保有できるようにする案なので、別の制度改正として考える必要があります。
| 比較 | 債券中心の投資信託 | 日本国債そのもの |
|---|---|---|
| 保有するもの | 投資信託 | 国が発行する債券 |
| 価格変動 | 市場金利などで変動 | 商品や満期までの保有状況による |
| 運用コスト | 信託報酬がかかる | 投資信託の信託報酬はない |
| つみたて投資枠 | 2027年から対象拡大予定 | 現時点では対象外 |
| 今回の検討 | すでに別の改正が進行 | 新たに追加が検討されている |
「2027年から債券が買える」という話を見かけた場合、それが債券ファンドなのか、日本国債の直接購入なのかを確認してみてください。
国債がNISA対象になると何が変わる?
一番わかりやすい変化は、国債の利子にかかる税金です。現在、個人向け国債などから受け取る利子には、原則として20.315%が課税されます。
たとえば、国債を1,000万円保有し、年1%の利子を受け取ると仮定します。年間の利子は税引前で10万円ですが、通常は約2万315円の税金が差し引かれ、手取りは約7万9,685円です。
仮にNISA口座内の利子が全額非課税になれば、10万円をそのまま受け取れます。
| 1,000万円を年1%で運用した例 | 通常口座 | NISA口座 |
|---|---|---|
| 税引前の利子 | 10万円 | 10万円 |
| 税金 | 約2万315円 | 0円 |
| 受取額 | 約7万9,685円 | 10万円 |
これは制度の違いを示すための仮定で、実際の利率や受取額を保証するものではありません。それでも、保有額が大きく、期間が長くなるほど、非課税による差が積み重なることはわかります。
なぜ今、日本国債をNISAに入れたいの?
政策側には、家計の資産形成を支援するだけでなく、日本国債の買い手を増やしたいという狙いもあります。片山財務相は「金利のある世界」になったことや、資産の組み合わせを多様化することが国民にとってプラスになるとの意見に触れています。
これまでの日本では、金利が非常に低かったため、国債を個人が買うメリットを感じにくい時期が続いていました。ところが金利環境が変われば、株式ほど大きな値上がりを狙わなくても、一定の利子を受け取りたいという需要が増える可能性があります。
一方で、国債をNISAへ加えることは、政府にとって安定的な国債保有者を増やすことにもつながります。国民民主党の法案も、家計の安定的な資産形成と、国債の円滑な発行の両方を目的として掲げています。
投資上限は1,800万円に含まれる?
ここは、まだわかっていません。現在のNISAには、生涯で合計1,800万円という非課税保有限度額があり、そのうち成長投資枠は1,200万円までとなっています。
国債を追加する場合には、既存の1,800万円枠を株式や投資信託と共有するのか、それとも国債専用の非課税枠を新設するのかという論点が出てきます。提出された法案は、政府に必要な制度整備を求める内容が中心で、具体的な限度額や購入方法までは確定していません。
対象となる国債についても同じです。個人向け国債の「変動10年」「固定5年」「固定3年」がすべて対象になるのか、市場で売買される国債も含まれるのかは、今後の制度設計を待つ必要があります。
少なくとも、今持っている国債をそのままNISA口座へ移せると決まったわけではありません。制度開始を前提に国債の購入を待ったり、現在のNISA運用を急に変更したりする必要はないでしょう。
国債NISAなら株式より安心?
日本国債は株式と比べて値動きを抑えやすく、利子や満期時の償還を重視する方にとって選択肢になります。ただし、国債をNISAで買えるようになっても、株式投資の代わりになるとは限りません。
株式には企業の成長による値上がりが期待できる一方、国債の収益は基本的に利子と償還差益に限られます。長期間の資産形成では、物価上昇に対して十分な運用成果を得られるかも考える必要があります。
反対に、数年後に使う予定のお金や、値下がりすると困る老後資金まで、すべて株式で運用することに不安を感じる方もいると思います。そのような場合、株式と国債を組み合わせ、資産全体の値動きを抑える使い方は考えられます。
国債NISAが実現するかどうかにかかわらず、大切なのは「株式か国債か」という二択にしないことです。使う時期や許容できる値動きに合わせて、現預金、国債、投資信託の配分を考えてみてください。
シミュたてでは、NISA、iDeCo、企業型DCについて、毎月の積立額や想定利回りを変えながら将来の資産額を比較できます。株式の想定利回りを高めに、国債などの安定資産を低めに設定すると、資産配分によって結果がどのくらい変わるかも試せます。
➡️ NISA・iDeCo・企業型DC 三制度比較シミュレーターを試してみる
※この記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な解説で、個別の投資の助言や税務の相談ではありません。制度は法改正などで変わることがあります。実際の取り扱いは、勤め先や金融機関、専門家にご確認ください。

