先週、ちょっとした事件がありました。イーロン・マスク氏の宇宙開発企業SpaceXが、2026年6月12日にNASDAQへ上場したんですね。評価額はおよそ1.75兆ドル、調達額も含めると史上最大級のIPO(新規上場)だと報じられています。
このニュースを見て、私が真っ先に思ったのは「自分が積み立てているインデックス(指数連動の投資信託)に、これっていつ入ってくるんだろう?」でした。同じように感じたインデックス投資家の方、けっこう多いんじゃないでしょうか。そして調べてみると、ここにNASDAQ100とFANG+という2つの指数の性格の違いが、きれいに表れていたんです。今回はその話を、NISAやiDeCo、企業型DCとの付き合い方も交えて整理してみます。
先に結論 ― 同じ巨大企業でも、指数によって入り方が違う
結論から言うと、こういうことです。
SpaceXは、NASDAQ100には早ければ7月上旬にも組み入れられる見込みです。これは2026年5月に始まった新しいルールのおかげなんですね。一方で、FANG+のほうは、上場したからといって自動的には入りません。
同じ「米国ハイテクの代表選手を集めた指数」と言われる2つなのに、新顔の迎え入れ方がまるで違う。この差こそ、両者の性格を理解するいちばんの近道だと思います。順を追って見ていきましょう。
「ファストエントリー」というルールが効いている
まず、SpaceXがNASDAQ100に早く入れそうな理由から。
NASDAQは2026年5月1日付で「ファストエントリー」という新しいルールを導入しました。これは、ものすごく大きな企業が上場したとき、通常の年1回の入れ替えを待たず、上場から最短15営業日ほどで指数に組み込めるようにする仕組みです(対象は時価総額が上位クラスに入るような巨大IPO)。SpaceXほどの規模なら、この条件は楽に満たします。
なぜこれが話題かというと、NASDAQ100に連動するファンド(QQQなどが有名ですね)は、指数に組み入れられた銘柄を、いわば機械的に買うことになるからです。世界中のインデックスファンドが一斉にSpaceXを組み入れる、というインパクトが意識されているわけですね。
ちなみに、全世界株式(いわゆるオルカン)のほうがさらに早く、6月下旬には入る見込みと報じられています。逆にS&P500は、黒字を一定期間続けているかなどの条件が厳しく、採用は数年先になる可能性があるそうです。同じ「上場した」でも、指数ごとに入る時期がこんなに違うんですね。私はこれ、調べてみて初めて知りました。
NASDAQ100とFANG+は、そもそも作りが違う
では、なぜFANG+は自動的に入らないのか。これは2つの指数の「作り」の違いによります。
NASDAQ100は、NASDAQに上場する金融以外の企業のうち、規模の大きい約100社を、時価総額の大きさに応じた比率で組み入れる指数です。ルールにもとづいて自動的に銘柄が決まる仕組みなので、SpaceXのような巨大企業が現れれば、ルールに沿って組み込まれていきます。
FANG+は、これに対してわずか10社ほどを、ほぼ均等な比率で組み入れる指数です。「FANG」はFacebook(現Meta)・Amazon・Netflix・Googleの頭文字で、そこに有力なテック企業を加えた、いわば選抜メンバーですね。構成銘柄は定期的に見直されますが、新しく上場した企業がすぐ自動で入るわけではなく、見直しのタイミングで判断される形になります。だからSpaceXも、入るとすれば「いつかの見直しで選ばれれば」という話になるんです。
この違いを一言でまとめると、こんな感じでしょうか。
| 項目 | NASDAQ100 | FANG+ |
|---|---|---|
| 銘柄数 | 約100社 | 10社ほど |
| 比率の決め方 | 時価総額に応じて | ほぼ均等 |
| 新顔の入り方 | ルールで自動的に | 定期見直しで選ばれれば |
| 性格 | 広めに分散 | 少数に集中 |
集中と分散、どちらにも一長一短がある
「じゃあ結局どっちがいいの?」と気になりますよね。ここは断定を避けたいんですが、過去の傾向として一般に言われていることを、注意点つきで紹介します。
少数に集中するFANG+は、構成銘柄がそろって伸びる局面では、分散の効いたNASDAQ100より大きく上昇する傾向があったと言われます。実際、ここ数年のように特定のハイテク企業が急騰した場面では、その傾向が出やすかったようです。
ただ、これは裏返すと下落局面では深く沈みやすいということでもあります。報じられている例では、2026年初の調整局面で、NASDAQ100より大きく下げたとされています。集中している分だけ、値動きの振れ幅が大きくなるんですね。そして、深く下げた資産が元に戻るには、下げた以上の上昇率が必要になります。たとえば半分に下がった資産を取り戻すには、2倍に増やさないといけない。回復には時間も精神力も要る、ということです。
ここで強調しておきたいのは、過去にこうだったからといって、これからもそうとは限らないということです。高いリターンの話ほど、リスク(値動きの大きさ)とセットで考える必要があります。「話題のSpaceXが入るから上がるはず」といった期待だけで集中させるのは、私はちょっと危ういと思っています。実際、指数に新しく組み入れられても、当初の構成比率は0.1%前後とごくわずかで、すぐに大きな影響が出るわけでもないようですし。
NISA・iDeCo・企業型DCでは、どう扱える?
さて、ここで制度の話に目を向けてみます。「器」によって、これらの指数の使い勝手がけっこう変わるんですね。
NISAなら、NASDAQ100やFANG+に連動する投資信託を、成長投資枠などで持つことができます(商品によってつみたて投資枠で買えるものもあります)。気をつけたいのはコストで、一般にFANG+連動の投信は信託報酬(運用にかかる手数料)がやや高めの傾向があり、NASDAQ100連動には低コストの商品もあります。同じ「米国ハイテクに投資」でも、手数料の差が長期では効いてくるので、ここは確認しておきたいところです。
iDeCoや企業型DCは、少し事情が違います。これらは選べる商品があらかじめ決められていて、その中から選ぶ形なんですね。だから、そもそもFANG+やNASDAQ100に連動する商品がラインアップにあるとは限りません。とくに企業型DCは会社が用意した商品の範囲になるので、「米国ハイテクに集中投資」という選択肢自体がないこともあります。自分の口座で何が選べるかは、一度確認してみてください。
つまり、制度という「器」(非課税や所得控除のメリット)と、その中に入れる「中身」(どの指数か)は、分けて考えるのがよさそうです。器の特性は別記事(三制度の使い分け)で整理しているので、あわせて読んでみてください。

自分のお金、どの制度にどれだけ?
話題の指数に目が行くと、つい「何を買うか」ばかり考えてしまいますが、長い目で見ると「どの制度に、どれだけ積むか」という配分のほうが、効いてくる場面も多いと思います。
シミュレーターで、NISA・iDeCo・企業型DCそれぞれに毎月いくら積むと将来どうなりそうか、利回りを変えながら試してみてください。中身の指数を考える前に、まず器ごとの配分とおおよその金額感をつかんでおくと、SpaceXのような話題が出てきても、落ち着いて「自分の方針に合うかどうか」で判断しやすくなると思います。
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※この記事は2026年6月時点の情報をもとにした一般的な解説で、個別の投資の助言や特定の商品・指数の推奨ではありません。市場や指数のルール、制度は変わることがあります。実際の投資判断や取り扱いは、ご自身の責任で、勤め先や金融機関、専門家にご確認のうえ行ってください。
