「日本人がNISAでオルカンを買うほど、円安が進む」という話を見かけることがあります。自分の積立まで円安の原因になっているのかと思うと、少し複雑な気持ちになりますよね。
結論からお伝えすると、オルカンへの資金流入は、円安方向の力になり得ます。ただし、オルカンだけが円安を引き起こしているわけではなく、為替市場を動かす多くの要因の一つと考えるのが自然です。
なぜオルカンを買うと円売りになるの?
一般に「オルカン」と呼ばれるeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、日本を含む世界の株式へ投資する投資信託です。2026年3月末の月報では、国内株式が5.2%、日本を除く先進国株式と新興国株式が合計94.8%でした。
私たちが証券口座から支払うのは円ですが、ファンドが米国株や欧州株などを買うには、運用の過程でドルなどの外貨が必要になります。実際の売買方法やタイミングはファンドによって異なるものの、オルカンへ新しい資金が入るほど、全体として円を売って外貨を買う需要につながりやすいんですね。
しかも、積立投資は為替レートや日米の金利差に関係なく、毎月ほぼ一定のペースで続きます。このような継続的な資金流出は、短期的な投機とは違う「構造的な円売り」と呼ばれることがあります。
実際にどれくらいのお金が海外へ向かっている?
2026年7月6日から10日の週には、オルカンへ推計2,008億円が純流入し、国内公募投資信託の週間流入額で9週連続の首位となりました。すべてがNISA資金とは限りませんが、海外株式へ投資する商品の人気が続いていることはわかります。
第一生命経済研究所の集計では、投資信託などを通じた海外証券投資による資金流出は、2024年に11.5兆円、2025年に9兆円、2026年1月から5月には4.7兆円に達しました。この数字もオルカンだけではありませんが、その多くは円売りと外貨買いを伴った可能性があると分析されています。
毎月の積立が積み重なれば、円相場へ一定の影響を与えるという見方には理由があります。
それなら円安の原因はNISAなの?
ただし、「NISAやオルカンのせいで1ドル160円台になった」と考えるのは単純すぎます。為替には、日本と米国の金利差、中央銀行の政策、原油などの輸入代金、海外投資家の売買、企業や年金基金の資金移動など、さまざまな要因が影響します。
2026年6月には日銀が政策金利を1%へ引き上げましたが、米国の政策金利はそれより高い水準にあり、円は一時1ドル160円台まで下落しました。原油高や投機的な円売りも、円安要因として指摘されています。
そもそも、2025年4月の世界の外国為替取引は1日平均9.6兆ドル、円を含む取引だけでも約1.6兆ドルでした。投資信託からの資金流出と単純比較はできませんが、為替市場の規模を考えると、個人の積立だけで相場が決まるわけではありません。
円安が気になるならオルカンをやめるべき?
自分の積立が円安につながることを理由に、オルカンをやめる必要はないと思います。一人ひとりの投資額が為替相場へ与える影響はごく小さく、円高になる時期を予想して積立を止めるのも簡単ではありません。
円安になると、海外資産の円換算額が押し上げられ、オルカンの基準価額にはプラスに働きやすくなります。反対に円高になると、海外株が上昇していても、円換算後の利益が小さくなったり、基準価額が下がったりする可能性があります。
大切なのは、円安を予想して売買することではなく、オルカンが為替変動の影響を受ける商品だと理解しておくことです。国内株式や円預金も含め、自分の資産全体が海外資産へ偏りすぎていないか確認してみてください。
シミュたてでは、毎月の積立額、運用期間、想定利回りを変えながら、将来の資産額を試算できます。円安による一時的な値上がりだけで判断せず、長期の積立計画を数字で確認してみてください。
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※この記事は2026年7月時点の情報をもとにした一般的な解説で、個別の投資の助言や税務の相談ではありません。制度や相場環境は変わることがあります。実際の取り扱いは、勤め先や金融機関、専門家にご確認ください。
