NISA・iDeCo・企業型DC 三制度つみたて比較シミュレーター
NISA

NISAで損が出たらどうなる? 課税口座との意外な違いと、配当の注意点

NISA
この記事は約5分で読めます。

NISAは損しても「損益通算」できない ― 知らないと損する、非課税の裏側

「NISAは利益に税金がかからなくてお得ですよ」。よく聞くフレーズですし、実際そのとおりです。私も最初は「NISA=得しかない、やらなきゃ損」くらいに思っていました。

でも、いろいろ調べていくうちに気づいたんです。「じゃあ、NISAで損したときはどうなるの?」という肝心の部分が、あまり語られていない、と。実はここに、知らないと損をしかねない落とし穴があるんですね。今回は、NISAの「影の部分」とも言える損益通算の話を整理してみます。NISAをけなしたいわけではなくて、仕組みを正しく知って使ってほしい、という趣旨です。

まず結論。「利益が非課税」の裏返しで「損も使えない」

先に答えをお伝えします。

NISA口座で出た損失は、税務上「なかったもの」として扱われます。これがどういうことかというと、課税口座(特定口座や一般口座)で出た利益と相殺できず、損失を翌年以降に繰り越すこともできない、ということなんです。

NISAは利益が非課税になる制度ですよね。その代わりに、損失のほうも税金の計算に入れてもらえない。「利益が非課税である代わりに、損も税務上は使えない」…。この表裏の関係こそが、NISA最大の落とし穴だと言われます。順番に見ていきましょう。

そもそも「損益通算」「繰越控除」って?

聞き慣れない言葉なので、まず用語を押さえます。

通常の課税口座で投資をすると、利益には約20%の税金がかかります。でも、複数の投資をしていれば、利益が出るものもあれば、損が出るものもありますよね。そこで、ある投資の損失を、別の投資の利益や配当と相殺して、課税される金額を減らせる仕組みがあります。これが「損益通算」です。

たとえば、Aという銘柄で50万円の利益、Bという銘柄で30万円の損失が出たとします。課税口座なら、この2つを通算して「利益は差し引き20万円」と計算でき、その20万円分にだけ税金がかかる。損失のおかげで、納める税金が軽くなるわけですね。

さらに、その年に引ききれなかった損失は、確定申告をすれば最大3年間、翌年以降に繰り越して、将来の利益と相殺できます。これが「繰越控除」です。投資で損をしたときの、いわば救済措置のようなものですね。

NISAだと、この救済が使えない

ところが、NISA口座で出た損失には、この損益通算も繰越控除も使えません

さきほどの例で考えてみましょう。課税口座のAで50万円の利益が出ている一方、NISA口座のBで30万円の損失が出たとします。課税口座どうしなら通算して税金を軽くできたはずですが、NISAの損失は「なかったもの」とされるので、この30万円はどこにも使えません。結果、課税口座のAの利益50万円には、まるまる税金がかかってしまうわけです。「NISAで損したうえに、税金の面でも何も助けてもらえない」……。こう考えると、なかなかシビアですよね。

なぜこうなっているかというと、NISAはそもそも「利益が出ても課税しない」という非課税の制度だからです。利益を税金の計算に入れない代わりに、損失も計算に入れない。制度の設計上、損も益も税務の世界では“見ない”ことになっている、というわけですね。理屈としては一貫しているのですが、損したときに初めてこの仕組みに気づいて、ハッとする人が多いところだと思います。

見落としやすい点…配当の「受け取り方」で課税されることも

もうひとつ、NISAにまつわる見落としをお伝えしておきます。これも意外と知られていません。

NISA口座で持っている株の配当金や、ETF・REITの分配金を非課税で受け取るには、「株式数比例配分方式」という受け取り方を選んでおく必要があります。これは、配当金を証券口座で受け取る方式のことです。

ところが、「配当金領収証方式」(郵便局などで受け取る)や「登録配当金受領口座方式」(指定の銀行口座で受け取る)を選んでいると、せっかくNISAで持っていても、配当には約20%の税金がかかってしまうんです。「NISAなんだから、配当も自動で非課税でしょ」と思い込んでいると、ここで取りこぼします。日本証券業協会も注意を呼びかけているポイントなので、心当たりのある方は、いちど自分の証券口座の設定を確認してみてください。高配当の銘柄やETFをNISAで持っている方は、とくに要チェックです。配当まわりの話は別記事でも触れているので、あわせてどうぞ。

じゃあ、どう付き合えばいい?

ここまで読むと「NISAって不利なの?」と感じるかもしれませんが、そういう話ではありません。要は、仕組みに合った使い方をするということです。

NISAは損益通算ができないからこそ、長くじっくり持つことで力を発揮する制度だと言えます。逆に言うと、短期で売買を繰り返したり、値動きの激しい個別株に集中したりして損を出すと、その損を税金面で取り戻せない。だから、そういう「損益通算を使いたくなるような投資」は課税口座で、NISAは長期の非課税運用に……という口座の役割分担を意識すると、ブレが減ると思います。

それと、これは暴落のときにも言えることですが、NISAで含み損が出ても、焦って売ってしまうと損が確定するうえに通算もできず、いいことがありません。長期で成長が見込めると考えるなら、持ち続けて回復を待つのも選択肢です(もちろん、必ず回復する保証はありませんが)。NISAの非課税メリットは、時間をかけてこそ効いてくるものなんですね。

自分の場合、長期で運用するとどうなる?

NISAの強みは、なんといっても長期の非課税運用です。「長く持つとどのくらい差が出るのか」を実感できると、目先の値動きに振り回されにくくなります。

シミュレーターで、毎月コツコツ積み立てて長期運用したら将来どうなりそうかを試してみてください。NISA・iDeCo・企業型DCを並べて見られるので、それぞれの非課税メリットを長い時間軸で比べられます。NISAを「短期の勝負」ではなく「長期の味方」として使うイメージを、数字でつかんでみてください。

➡️ NISA・iDeCo・企業型DC 三制度比較シミュレーターを試してみる


※この記事は2026年6月時点の情報をもとにした一般的な解説で、個別の投資の助言や税務の相談ではありません。税制や制度は法改正などで変わることがあります。配当金の受け取り方式の設定や確定申告の取り扱いなど、実際の手続きは、ご利用の金融機関や税務署、専門家にご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました