NISA・iDeCo・企業型DC 三制度つみたて比較シミュレーター
企業型DCiDeco

企業型DC・iDeCo、気づいたら全部定期預金? 「ほったらかし」を点検しよう

企業型DC
この記事は約6分で読めます。

会社の企業型DC(会社が掛金を出してくれる確定拠出年金のことです)に入っている方に、ひとつ質問です。「自分のDC、いま何で運用されているか、すぐ答えられますか?」

……正直、パッと出てこない方も多いと思います。私のまわりでも、「入社のときに何か説明された気はするけど、商品なんて選んだ記憶がない」「久しぶりに見たら、全部定期預金のまま何年も全然増えてなかった」という話をよく聞きます。実はこれ、放置していると静かに損をしかねない、けっこう大事な話なんですね。今回は、確定拠出年金の「ほったらかし」を点検する方法を整理してみます。

まず結論。放置すると「自動で定期預金」になっていることがある

先に要点をお伝えします。

確定拠出年金(企業型DCもiDeCoも)は、自分で運用商品を選ぶ制度です。ところが、加入時に商品を選ばないまま放置すると、あらかじめ決められた「指定運用方法」という商品で自動的に運用が始まります。そして、この指定運用方法が、定期預金などの元本確保型(元本が減りにくいタイプ)になっていることが少なくないんですね。

元本確保型は安全に見えますが、いまの低金利ではほとんど増えません。しかもDCは口座を持っているだけで手数料がかかるので、増えない資産から手数料が引かれて、実質的に目減りすることもあります。だからまずは、自分のDCがいま何で運用されているかを確認し、必要なら見直す。これが今日いちばんお伝えしたいことです。そして見直しには「配分変更」と「スイッチング」という2つの操作があって、この違いを知らないと、中途半端な見直しになってしまいます。順番に見ていきましょう。

なぜ「気づいたら定期預金」が起きるの?

そもそも、なぜ放置すると定期預金になるのか。

確定拠出年金は、用意された商品ラインアップ(定期預金・保険・投資信託など)の中から、自分で選んで運用していく制度です。でも、加入したばかりの頃は「投資なんてよくわからない」「とりあえず後で考えよう」と、商品を選ばないままにしてしまう人が多い。すると、一定期間が過ぎたところで、会社の制度で決められた「指定運用方法」で自動的に運用が始まります。この自動で選ばれる商品が、元本確保型に設定されているケースがあるわけです。

入社時に投資の説明を受けていても、忙しさにまぎれて忘れてしまう、というのもよくある話ですよね。実際、確定拠出年金の統計を見ても、運用されている資産のうち投資信託はおよそ6割で、裏を返せば4割ほどは元本確保型に置かれたまま、という状況です。「自分で選んだ結果として定期預金」ならいいのですが、「選ばないまま、なんとなく定期預金」だとしたら、一度立ち止まって見直す価値があると思います。

元本確保型って、何が問題なの?

「元本が減らないなら、それでいいのでは?」と思うかもしれません。ここは少していねいに見ておきましょう。

元本確保型(定期預金や保険)は、その名のとおり元本が守られやすいのがメリットです。値動きで資産が減る心配がほとんどない。これ自体は悪いことではありません。ただ、いまのような低金利だと、利息はごくわずか。前述のとおりDCには手数料がかかるので、利息より手数料が上回れば、実質的には少しずつ減っていくことになります。さらに、物価が上がっていく局面では、額面は同じでもお金の価値が目減りします。「減らない=安全」と思いがちですが、見方を変えると、増えないこと自体がリスクになりうるんですね。

とはいえ、元本確保型がいつもダメ、というわけではありません。受け取りが間近に迫っている方が、値動きで資産を減らしたくないからあえて元本確保型を選ぶ、というのは合理的な判断です。問題なのは、商品そのものというより、「自分で選んだわけでもないのに、知らないまま放置している」状態のほうなんです。まずは現状を知って、「これでいい」と納得して選び直す。それが大事だと思います。

見直しの2ステップ。「配分変更」と「スイッチング」は別物

では、いざ見直そうとなったとき。ここがいちばん間違えやすいポイントです。確定拠出年金の運用の見直しには、2つの操作があって、それぞれ役割が違います。

ひとつめが「配分変更」。これは、これから拠出される掛金を、どの商品にどんな割合で買っていくかを変える操作です。つまり「今後の積み立て方針」を変えるもの。注意したいのは、配分変更をしても、すでに積み立て済みの資産はそのままだということ。

ふたつめが「スイッチング(預け替え)」。これは、すでに積み立てた残高を売って、別の商品に買い換える操作です。「今ある資産の中身」を入れ替えるイメージですね。

ここが肝心なんですが、「今ある定期預金を投資信託に変えて、これからもそうしたい」という場合は、配分変更とスイッチングの両方をやる必要があります。 スイッチングだけだと、今ある残高は投資信託に変わっても、毎月の掛金はあいかわらず定期預金で買われ続けてしまう。逆に配分変更だけだと、今後の掛金は変わっても、これまで貯まった定期預金はそのまま、ということになります。「片方だけやって、変えたつもりになっていた」というのは本当によくある取りこぼしなので、ここはぜひ覚えておいてください。

点検のコツと、気をつけたいこと

最後に、点検する際のポイントを。

まず、年に1回くらいは運用状況を確認する習慣をつけるのがおすすめです。DCは年1回「運用状況のお知らせ」のような通知が届きますし、誕生月など日を決めておくと忘れにくいですね。確認して、自分の方針からずれていれば、必要に応じて見直す。

ただし、頻繁に変えるのは逆効果です。確定拠出年金は60歳まで続く超長期の運用が前提なので、短期の値動きに反応してコロコロ変えると、かえってうまくいきません。相場が下がった日に慌ててスイッチングする、というのは避けたいところ(このあたりは暴落時の心構えの記事でも触れています)。それと、スイッチングの手続きには売却と買付で1〜2週間かかりますし、保険商品を途中で解約すると解約控除がかかる場合もあるので、そこは確認してから動きましょう。

配分の中身は、年齢やリスク許容度によって変わります。「自分で組むのは難しい」という方は、運用会社にお任せできるバランス型のファンドや、年齢に合わせて自動で配分を調整してくれるタイプの商品もあります。迷ったときや大きく見直したいときは、会社の窓口や専門家に相談するのもいいと思います。年代別の見直しについては、50代向けの記事でも触れているので、あわせてどうぞ。

定期預金のままと、運用した場合でどう違う?

「放置して定期預金のままだと、そんなに変わるの?」と気になった方も多いと思います。これは期間や利回りによって変わるので、文章だけだとイメージしづらいんですよね。

シミュレーターで、確定拠出年金を運用し続けた場合に将来どのくらいになりそうかを試してみてください。NISAや企業型DC・iDeCoを並べて見られるので、「放置して増えない状態」と「自分で選んで運用する状態」の差を、数字でつかめます。まずは自分のDCの現状を確認したうえで、いちど眺めてみてください。

➡️ NISA・iDeCo・企業型DC 三制度比較シミュレーターを試してみる


※この記事は2026年6月時点の情報をもとにした一般的な解説で、個別の投資の助言や特定の商品の推奨ではありません。制度や手数料、運用商品のラインアップは加入先によって異なり、変わることもあります。実際の運用商品の選択や見直しは、ご自身の判断と責任で、加入先の運営管理機関や勤め先、専門家にご確認のうえ行ってください。

タイトルとURLをコピーしました